ミネラルウォーターを分類する
ここでは、それぞれのミネラルウォーターをもう少し細かく分類し、解説していまず、ミネラルウォーターには無殺菌のものと殺菌(または滅菌)したものがある。
そして殺菌したミネラルウォーターには、その処理のやり方によって、加熱殺菌したもの、濾過滅菌したもの、オゾン殺菌したもの、紫外線殺菌したもの、あるいは複数の処理を組み合わせて行ったものがある。
また、そうした殺菌処理をした上に、人工的なミネラル分の添加、調整をしたもの、または複数の水源の水を混ぜ合せたミネラルウォーターがある。
あとは炭酸ガスを含む「発泡性」なのか「無発泡性」なのかという分け方もある。加えてその水に含まれるミネラル成分による分類もある。硬度の低い軟水か、硬水か、その中間である中硬水であるかというのがそれだ。
硬度とは、その水1リットル中に含まれているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計量を数値化したものだ。わかりやすく言えば、水の中にカルシウムとマグネシウムがどれだけ溶け込んでいるかを、数字であらわしたものである。だからカルシウムとマグネシウムが少ない水が軟水であり、多い水加硬水ということになる。
硬度の計算方式は国によって異なるが、日本では「簡便計算方式」と呼ばれるものが広く使われている。「カルシウム量mg/L」 ×2+5十マグネシウム量(mg/L)×4.1」というのがそれである。
例えば「A」という水のラペルに、カルシウムが1リットル中50ミリグラム、マグネシウムが20ミリグラム含まれているとすると、50(mg/L)×2.5+20(mg/L)×4.1=207、つまり「硬度207」ということになるわけだ。
日本の理化学辞典では、硬度が0~178未満のものを「軟水」、178以上357未満のものを「中間の水」、357以上を「硬水」と定義している。だが、これではわかりにくいということもあって、最近は便宜的に、硬度100以下のものを「軟水」、硬度101以上300以下のものを[中硬水]、301以上のものを「硬水」と呼ぶことが多いようだ。
硬度はまた、その水の適性のひとつの目安となる。
硬度の低い軟水は、飲んで清涼感があり炊飯や料理には向くが、飲むことによってミネラルを摂取するという目的には向かない。反対に硬水は料理はもちろん、緑茶や紅茶をいれるのにも不向きだが、飲みごたえがあり、不足しがちなミネラルを体内に補給することができる。また中硬水はその中間のスタンスを持ち、料理やお茶に使用してもそれほどの違和感もなく、ミネラル摂取の補助的な役割も果してくれる、というわけだ。
そして同じ硬水でも、そのミネラルバランスによって微妙に味わいがちがってくる。カルシウムは適度であれば水にキリッとした喉ごしのよさを与えてくれるが、比率が高いと舌に重く感じられるようになるし、マグネシウムは少なければ甘みがあるが、多ければ苦味が感じられる。また塩化ナトリウムが増えれば塩辛くなり、硫酸ナトリウムが増えると渋味が出てくると言われている。だから、それぞれのミネラルが、味覚的な欠点が出てこない程度にバランス良く含まれていれば、たとえ硬水であっても、おいしくかつ飲みやすい水になる。
そしてもうひとつ、ペーハー値によって水を分類することもできる。
ペーハー値とは、溶液中の水素イオン濃度を表す数値。わかりやすくいえばその水が酸性かアルカリ性かを示す目安である。pH7.0を中性とし、それより数値が大きいものをアルカリ性、小さいものを酸性と呼ぶ。
人間が飲む水としては、アルカリ性や酸性が強すぎるものは向かない。ただしミネラルウォーターのペーハー値は5.0から9.0の間におさまるものがはとんどで、この程度の数値であれば健康にはまったく間題はない。また発泡性のミネラルウォーターに酸性の水が多いのは炭酸ガスが含まれているためで、これも健康に影響を与えることはない。
最近はpH7.1~8.5程度の弱アルカリ性の水を”アルカリイオン水”と称して「健康促進に効果がある」と謳っている。これは、人間の健康時の血液が常にpH7.35~7.45の弱アルカリに保たれているため、弱アルカリの水が無理なく体内に吸収される、ということをその根拠としている。それ自体は誇張表現ではないが、より具体的な”病気が治る”といった効果が認められたという医学的、臨床的データは僕の知る限りない。あまり過信をしないのが賢明というものだろう。
こうした細かい分類ができるようになれば、その用途に合わせてミネラルウォーターを選択し、使い分けることが可能となる。そのためには、ブランドーイメージや値段にまどわされずに、ラペルの表示をしっかりと見ることが大切である。
まず、ラペルにその水に含まれているミネラル成分の一覧表が記載されていれば、そのミネラルウォーターはある程度信頼できる。
そしてそこに表示されている硬度が301以上であれば、その水は硬水であると判断できるし、仮にカルシウムが多くてマグネシウムが少ないという特徴があるとすれば、重い水だが苦味が少なく飲みやすいと考えることができる。
殺菌方法が加熱処理なのか、濾過なのか、あるいは無殺菌なのかを読み取れば、その水の品質管理に対する考え方がわかるだろう。 だいたいの水が硬度20から100の問に収まってしまう日本のミネラルウォーターに対し、輸入の水は蒸留水に近いものから、硬度1816の超硬水「ナノジンガー グルメ」まで、その範囲は非常に幅広く、選択肢も多い。
また、1リットルあたりのカルシウム含有量が67.6ミリグラムに対してナトリウムはわずか1.9ミリグラムしかない『バルヴェール』や、反対にカルシウムは45.2ミリグラムしかないのにナトリウムが453ミリグラムもある『ヴァルス』など、独自の特徴を待った水が輸入品には多く、各々の個性がきわだっている。
もっとも賢いミネラルウォーターの選び方は、あらかじめその用途をはっきりさせておいてから、それに合うミネラルバランス、処理方法を取っている水を探しだすことである。
例えば、純粋に飲み水としておいしく、かつミネラルの多い水を選びたい場合は、カルシウムが多くマグネシウムやナトリウムが比較的少ないというバランスを待ち、酸素や炭酸ガスが失われていない無殺菌の「ナチュラルミネラルウォーター」がいい。
昆布やかつおぶしのだしを取る水として、あるいは日本茶をいれるのに使いたいという場合は、ミネラルの少ない軟水を選ぶべきだ。この場合、後で加熱することがはっきりしているのだから、加熱殺菌をした水でも間題はない。
スポーツの後や出産の前後にミネラルを補給したい、という用途であれば、とりあえずおいしさは度外視して硬度の高い水を探そう。
食事の合間に飲む水ならば、口の中を爽やかにしてくれる発泡性の水が向いている。
- ミネラルウォーターを分類する
硬度とは、その水1リットル中に含まれているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計量を数値化したものだ。わかりやすく言えば、水の中にカルシウムとマグネシウムがどれだけ溶け込んでいるかを、数字であらわしたものである。だからカルシウムとマグネシウムが少ない水が軟水であり、多い水加硬水ということになる。