ミネラルウォーターとは?
現在、この日本には、国産、輸入品とりまぜ500ブランド以上の多種多様なミネラルウォーターが飲料水として流通している。
こんなに多種多様なミネラルウォーターが販売され、驚異的な勢いでその消費量が増えている背景には、水道水(特に大都市圏)のまずさに対する不満やその安全性への不信があるのは間違いのないところだろう。
朝日新聞社が平成13年(200~の3月に、全国の有権者から選挙人名簿で3000人を選んで行った「水についての世論調査」によれば、なんと全体の47パーセントの人が「家庭で水道水をそのまま飲まない」と答えている。男女比でいうと、男性の49一パーセントに比べ、女性は52パーセントと10パーセントも多いのが特徴的で、これを30代の女性に限定するとなんと59パーセントもの人が「飲まない」と答えている。
そして、ミネラルウォーターを買う理由としては「おいしいから」(14パーセント)、「安全だと思うから」(14パーセント)、「健康にいいと思うから」(7パーセント)という回答が上位を占めている。
つまり、塩素臭く、カビ臭く、トリハロメタンなどの発ガン性物質が含まれ、環境ホルモン物質による汚染の可能性も否定できないといわれる水道水よりは、多少値段は高くても、ペットボトル入りの天然水の方がずっと安全である、という判断のもとに、消費者はミネラルウォーターを購入しているわけだ。
しかし、ミネラルウォーターは本当においしくて安全がな水ばかりなのだろうか。そして私たち消費者は、ミネラルウォーターについてはたしてどれだけのことを知り、理解しているのだろうか。
実際、ミネラルウォーターにはよくわからない点が多い。
- まず、ただの水なのになぜペットボトルー本で200円以上もの値段がつけられているのか。
- ボトルの中身は本当に自然のままの水なのだろうか。
- 種類は沢山あるが、その味や成分にいったいどれはどの違いがあるのか。
- そもそもミネラルウォーターとは何なのか。
もし街で道往く人に「ミネラルウォーターとは何ですか」という質問をしたとしたら何と答えるだろう。最も多い答えは「天然そのままの水のこと」というものではないだろうか。次に多い答えは「ミネラルを沢山含んでいる水」ではないかと思う。
しかしこの2つの答えは、どちらも正解ではない。なぜなら日本のミネラルウォーターに関するガイドラインでは、天然のままの水でなくても、その成分にミネラルをほとんど含まない水でも、”ミネラルウォーター”として販売することが認められているからである。
そう、日本においてはミネラルウォーター、イコール天然水のことではない。
平成2年(1990)3月に農林水産省が制定した「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」によれば、日本のミネラルウォーターは4つに分類されている。
まず、複数の地下水を混ぜ合せるか、地下水に人工的にミネラル分を添加し成分を微調整しかものをこう不ラルウォーター」、特定の水源から採水された地下水に濾過、沈澱、加熱いずれかの殺菌を施しかものを「ナチュラルウォーター」、その「ナチュラルウォーター」の中でも特に、ミネラルが地下で滞留中か移動中に溶け込んだものを「ナチュラルミネラルウォーター」と呼ぶ。そしてこの三つのカテゴリーには当てはまらないが、食品衛生法に草づく殺菌処理がなされた水を総称して「ボトルドウォーター」という。
こう説明するともっともらしいが、このガイドラインでは、水に含まれるミネラルの量についての数値的な基準が示されていないし、後からミネラルを添加、調整することも認めてしまっている。つまり、水道水の平均値の10分のIしかミネラル値のない水でも、人工的にミネラルを増やした水でも、水源が地下水であればTう不ラルウォーター」ということになってしまうのだ。「ボトルドウォーター」ともなると、それが食品衛生法の基準をクリアしていれば、河川の水や水道水をそのまま瓶に詰めて売ってもいいということになっている。
一般的な概念と照らし合わせても、ミネラルを後から調整した水や、複数の水源の水を混ぜたものを天然水というには無理がある。その点、日本のミネラルウォーター類の中で唯一、天然水に近いと思えるのが「ナチュラルミネラルウォーター」に分類される水であるといえる。これだけはその原水を地下水の中でも自然の状態でミネラルが溶け込んだもの万に限定しているからだ。
私たちが普段目にすることの多い大メーカーのミネラルウォーターのほとんどは、このガイドラインにおける「ナチュラルミネラルウォーター」に属している。
しかし厳密な意味から言えば、この「ナチュラルミネラルウォーター」さえも天然水とは言いがたい。
それは日本の「ナチュラルミネラルウォーター」には、濾過、沈澱及び加熱による殺菌(除菌)が義務づけられているからである。天然水とは天然そのままの水ということなのだから、人為的に殺菌(除菌)した水を天然水とは認められない。ことに加熱殺菌は、天然水の中に含まれている人体に無害な生菌を殺してしまうばかりか、水のおいしさの要素である酸素や炭酸ガスも減少させてしまうと考えられている。
では日本では人の手を加えない”殺菌も濾過もされない天然水”は販売されていないのかといえば、スーパーやコンビニェンスストアで、ごく普通に流通している。
それはヨーロッパ (EU加盟国)産の「ナチュラルミネラルウォーター」のことである。
同じ「ナチュラルミネラルウォーター」でも、日本の水とヨーロッパの水では規制の基準が大きく異なっている。日本の水がいかなる原水であっても殺菌(除菌)を義礎づけられているのに対し、∃Jロッパの水は無殺菌で販売することが認められている。もちろんその原水は天然のミネラルが自然な形で溶け込んだ地下水に限定されている。つまり日本では、ヨーロッパ産の水だけが例外的に、天然の状態でボトリングされたものがそのまま販売されているのである。
そうなると今度は、市販される飲料水なのに「無殺菌のままで安全なのか」という疑問が出てくる。多くの日本の消費者にとって無殺菌の水とは”生水μというイメージが強いからだ。自然そのままなのはいいが、大腸菌や雑菌がウヨウヨしていてはたまらない。
もちろんその心配は無用だ。ヨーロッパのミネラルウォーターの基準は日本のガイドラインとは比較にならないほど厳格なものだ。そして源泉の安全管理や周辺の環境保護においても格段の差がある。つまりヨーロッパのミネラルウォーターは「無殺菌だから危険」
なのではなく「無殺菌で売れるほど安全」なのである。
例えば輸入のミネラルウォーターとして日本で最も人気の高いブランドである『ボルヅイック』では、源泉の周囲5キロ以内を保護区として、地上に建造物を建てるのはおろか、すべての地下活動をも禁止して地下水を守っている。比べて日本のミネラルウォーターの
採水場の場合は、源泉周辺の環境に対しては全く何の規制もないから、仮に水源である山の上にゴルフ場が建設されても、産業廃棄物の処理場ができても、なすすべがないのが実情だ。日本のガイドラインには「源泉の近くに農薬ならびに人体に有害な化学物質を散布する施設を建ててはならない」といった条文はないし、それ以前に「市街地、住宅地の近くに採水工場を建ててはならない」という規制もない。ゆえに日本では”大自然の水”というイメージで広告展開をする一方で、市街地近くで採水し、販売している「ナチュラル
ミネラルウォーター」も存在している。
なぜ、日本とヨーロッパにはミネラルウォーターに対する考え方にこれはどの差加あるのだろうか。両者の背景、事情を比較しながら、その理由をじっくりと説明していこう。
- なぜ日本では水を殺菌しないといけないのか
日本の清涼飲料水は厚生労働省の「食品衛生法施行規則」および「食品、添加物等の規格基準」に従って生産されている。ミネラルウォーターもずっとこの基準に忠実に製造され、他の清涼飲料水と同様に殺菌処理が行われてきたのだ。 - ヨーロッパがミネラルウォーター先進国であるワケ
ヨーロッパ人にとって、高いお金を出してミネラルウォーターを買うことは特別なことではない。むしろ、おいしくて安全で健康にいい水が高いのはあたりまえと考えている。だからこそ、高いお金を払うからこそ、その品質と効能にはこだわるのだ - ヨーロッパのミネラルウォーター基準は
ヨーロッパ(EU加盟国)における「ナチュラルミネラルウォーター」の規定は、1... - 日本でのミネラルウォーターの歴史
ミネラルウォーター=水割り用の水というイメージを覆したのが、昭和58年(1983)の『六甲のおいしい水』の登場である。洋酒メーカーではなく、食品メーカーである「ハウス食品」が一般家庭を対象にして発売した、この"日本初の家庭用ミネラルウォーター"の誕生は、まさに革命的な出来事であった。『六甲のおいしい水』はそのネーミングのわかりやすさ、翌59年の全国的な水不足など、様々な要因によってシェアを拡大、名水ブームの嚆矢となった。 - ミネラルウォーターとは?
日本のミネラルウォーターに関するガイドラインでは、天然のままの水でなくても、その成分にミネラルをほとんど含まない水でも、"ミネラルウォーター"として販売することが認められているからである。 そう、日本においてはミネラルウォーター、イコール天然水のことではない。